朝ドラ『あんぱん』では、たかしが映画制作の仕事を依頼される場面が登場します。
その作品は、手塚治虫さんの実在の映画『千夜一夜物語』です。
史実でも、やなせたかしさんはこの映画に深く関わっていました。
美術監督として挑戦し、この経験がのちの『アンパンマン』誕生につながります。
今回は、『千夜一夜物語』の史実とドラマ『あんぱん』との違いをわかりやすく解説します。
【千夜一夜物語】とは？
『千夜一夜物語』は、1969年に公開されたアニメ映画です。
手塚治虫さんが中心となって制作した、挑戦的な作品でした。
日本で初めての大人向けアニメ映画ともいわれています。
この現場には、やなせたかしさんもスタッフとして参加していました。
物語のもとになったのは『アラビアンナイト』。
主人公は水売りの青年アルディンです。
盗賊や王位争いに巻き込まれながらも、自由と愛を求めて旅を続けます。
作品にはロマンスやユーモア、大人ならではの表現が盛り込まれました。
公開当時はとても斬新で、賛否両論の話題作となりました。
『あんぱん』をきっかけに初めて『千夜一夜物語』を観ました。
音楽がとても素敵で、おしゃれな雰囲気に驚きました。
内容は衝撃的で、ラストはまったく予想していない結末でした。
【千夜一夜物語】手塚治虫とやなせたかしの史実！
手塚治虫さんの『千夜一夜物語』には、やなせたかしさんが深く関わっていました。
やなせたかしさんは、この映画で美術監督という大きな挑戦をしました。
この経験が『やさしいライオン』、そして『アンパンマン』誕生へと続いていきます。
ここからは、その経緯と制作の舞台裏を紹介します。
美術監督に選ばれた理由
やなせたかしさんは、制作スタッフの推薦で起用されました。
当時、やなせたかしさんは大人漫画やナンセンス漫画で知られていました。
『大人のアニメなら、やなせたかしさんが適任』だと判断されたのです。
その結果、手塚治虫さんが直接電話で依頼。
起用が正式に決まりました。
『千夜一夜物語』は、やなせたかしさんにとって初めてのアニメ制作でした。
現場で基礎から学びながら挑戦しました。
責任の大きさに喜びと不安を同時に感じていたといいます。
キャラクターデザインの才能
制作を進める中で、やなせたかしさんはキャラクターデザインの才能に気づきました。
物語を読むと、登場人物が自然に実像として頭の中に浮かんだといいます。
俳優やスタッフをモデルにしたキャラクターも多く登場しました。
さらに、キャラごとにイメージカラーを設定するなど、細やかな工夫もしています。
一方で、大人向けの女性描写は苦手な題材でした。
そのため、このシーンのキャラクターデザインはすべて手塚治虫さんが担当。
ここだけは、手塚治虫さん独自の作風を感じることができます。
やなせたかしさんの代表作『アンパンマン』にも、たくさんのキャラクターが登場します。
キャラクターデザインの才能は、『アンパンマン』でもしっかり活かされていそうですね！
制作の裏側
『千夜一夜物語』の制作は、決して順調ではありませんでした。
配給会社との契約は虫プロに不利で、1億円の配収でも赤字になる内容でした。
さらに制作は大幅に遅れ、終盤には虫プロのスタッフ全員が作業に参加。
手塚治虫さんも含め、全員が不眠不休で追い込まれていました。
それでも間に合わず、最終的に外部のアニメ制作会社20社に外注。
完成までに約800人が関わり、映像は統一感を欠く仕上がりになりました。
しかし、演出担当者は「混ざった雰囲気がアラビアらしさを出している」と語っています。
映画は1969年に公開され、配給収入は約2億9,000万円。
邦画の年間ランキングでも上位に入る大ヒットでした。
ただし、外注費で制作費が膨らみ、虫プロとしては赤字に終わります。
さらに大人向けの表現もあり、テレビ放送はほとんどされませんでした。
短編映画を制作
映画のヒット後、手塚治虫さんはやなせたかしさんの頑張りに感謝を伝えました。
主人公の声優とともに赤坂の料亭でもてなし、背広の仕立券も贈ったといいます。
さらに「自由に短編を作ってみないか」と提案しました。
『千夜一夜物語』は赤字となりました。
そのため会社は、短編映画の制作に前向きではなかったといいます。
そこで手塚治虫さんは、自分のお金で制作費を出しました。
やなせたかしさんは、虫プロのスタッフ5人とともに短編映画を制作。
完成した作品は『やさしいライオン』です。
もともとラジオドラマで流していた物語をアニメ化したものでした。
この作品は公開されると高く評価されました。
やなせたかしさんにとって、アンパンマンへと続く大きな転機になったのです。
【千夜一夜物語】の史実とあんぱんとの違いは？
千夜一夜物語の制作史実と、ドラマ『あんぱん』には大きく2つの違いがあります。
- 仕事の依頼方法
- のぶと手嶌治の関係
仕事の依頼方法
ドラマ『あんぱん』では、手嶌治がたかしの自宅を訪れました。
直接会って、仕事を依頼する場面が描かれています。
史実では、手塚治虫さんはやなせたかしさんに電話で依頼しました。
当時、手塚治虫さんは売れっ子漫画家。
睡眠時間もほとんどなく、外出する時間も取れませんでした。
本来なら、スタッフに任せてもよかったはずです。
それでも手塚治虫さんは、自ら時間を割いて電話をかけました。
この行動に、手塚治虫さんの誠実な人柄が表れていますね。
のぶと手嶌治の関係
ドラマ『あんぱん』では、のぶと手嶌治が直接会話をする場面があります。
のぶが立てたお茶を飲むシーンもありました。
さらに、手嶌治が「漫画の主人公みたい」とのぶの容姿を褒める描写もあります。
しかし史実では、小松暢さんと手塚治虫さんが会ったという記録は見つかっていません。
小松暢さんのお茶を手塚治虫さんが飲んだ、という情報も確認できませんでした。
もしかすると顔を合わせたことはあったかもしれません。
ただ、史実では二人にドラマのような関係性はなかったと考えられます。
今後、新しい情報が分かり次第、追記していきます。
【千夜一夜物語】手塚治虫とやなせたかしのQ&A
まとめ
『千夜一夜物語』は、手塚治虫さんが挑戦した日本初の大人向けアニメ映画です。
やなせたかしさんは、この映画に美術監督として参加。
この経験が『やさしいライオン』、そして『アンパンマン』誕生へとつながりました。
制作現場は、赤字や不眠不休など過酷な環境でした。
完成した『千夜一夜物語』は、大ヒット。
その結果、やなせたかしさんは短編映画を作る機会を得ました。
一方、『あんぱん』では、史実をもとにしながらも演出上のアレンジが加えられています。
依頼の方法や人物同士の関わり方など、史実とは異なる部分も描かれていました。
『あんぱん』では、どのようにたかしは映画を制作していくのでしょうか。
また、今後の展開でたかしは史実通り『短編映画』の制作を行います。
他にも、のぶと手嶌治がやり取りするシーンもあるそうです。
次は、どんなやり取りをするのでしょうか。
楽しみですね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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